ふわふわ、あったかい

シェアハウス専門ポータルサイトのスタッフによる、シェア生活を楽しむための探検レポートブログ。東京、神奈川、千葉、埼玉、 そして全国各地のシェア賃貸住居をひたすら探検する専門ポータルサイトの隊員達。明日はあなたの物件へ・・・!?
羊毛の暖かさと、人の手のぬくもりが集まる場所。
少し肌寒い、秋の夜。
わが家のクローゼットは先日衣替えを終えたばかりです。半袖、半ズボンの洋服は着回しできる3−4着を残して衣装ケースの中へ。入れ替わってセーターやカーディガン、コート、マフラーがおでましに。ハンガーにかかった洋服は、途端に暖かくて柔らかそうな面々になりました。
クローゼットの中は、とても人間的です。
ひとつのクローゼットの中にも、毎シーズンころころと移り変わる棚もあれば、何年も変わらない顔触れの棚もあります。
ときには思い切って幾つかの洋服とお別れすることもあります。と思えば、小学生高学年のころにプレゼントでもらったブルーのセーターは、いまでも手元に残っていたり。少し重たい手編みのローゲージのセーター。もう着られなくなってしまったんですけどね。
京都にある羊の原毛屋「スピナッツ」さんが女性専用のシェアハウス「プチハウス 等持院」を運営していることを知り、訪れたのは2012年の春のはじめです。
昔ながらの下宿スタイルのシェアハウスの向かいには、スピナッツさんの事務所があります。大きな台所に、畳敷きの作業場。昼食はたまに入居者さんも交えながら、こたつテーブルを囲んで「いただきます」。こんな風景が、もう十数年続いているのだとか。
時折、多目的室でワークショップが行われることもあります。全国から手織りの絨毯やキルト、洋服が集まってくることもあります。
羊毛と人の手のぬくもりが集まる家の様子を、ご紹介したいと思います。
低層の建物がならんだ住宅街。
北野線・等持院駅から線路沿いの道を進んだ先、落ち着いた環境の中にシェアハウスがあります。
建物にはそこそこに経年変化が見えますが、手入れが届いているからかとても清潔な印象です。
駐車場にはオーナーさんの自動車が停められています。
玄関まわりはレンガ色のタイルが敷き詰められています。
ここでは、部屋ごとのサインに注目したいところ。
焼き物の表札には、住人さんの名前が書かれています。
こういう細かなところが既製品でないところに、グッと心を掴まれます。
玄関扉は少し懐かしさを感じる引き戸です。
ガラガラと戸を開けるとこんな感じ。正面のドアの先にはスタジオがあります。
大きな靴箱が特徴的。
靴箱は部屋ごとに扉一枚分のスペースが用意されています。棚の高さも調整できるので、背の高い履物も収納できるのが嬉しいところ。
靴箱の対面には、メッセージボードやメールボックスが置かれています。
共用スペースの利用スケジュールが書き込まれていることがあるので、メッセージボードは日々チェックすることとなりそうです。
では、スタジオを覗いてみます。
スタジオは、専有部2間分の広さ。専有部を2室つなげたシンプルな間取り。
以前は共用のリビングとして活用されていましたが、現在はワークショップや写真撮影のスタジオをメインに使われているのだそう。
時折、オーナーさんが企画している羊毛イベントへ向けた作品達が集まることもあります。というのも、ちょうど伺ったのがその時だったようで、スタジオの一角には全国からウール作品が集まっていました。
もちろん、展示会ではないので作品をまじまじと見ることはできないのですが、手織りの絨毯や洋服からはオーラのような熱量を感じました。
スタジオには専有部と同様のキッチンが設置されています。
普段はお隣のオーナーさん宅にあるテーブルに集まることが多いのですが、たまにお茶会をしたり少し食卓を囲んだりスタジオも使われているのです。
コンロは1口でコンパクトですが、さっと便利に使えるサイズ感ではないかなと。
キッチンの棚にも、心なしか鍋が多め。囲んで食べるには鍋が一番です。
1F廊下の奥には、バスルームとシャワールームがあります。
突き当たりがバスルーム、手前右にあるドアがシャワールームです。
バスルームには採光がしっかり確保できるよう、いくつか窓が設置されています。
たっぷり光が入り込んで、とても気持ちのいいバスルーム。部分的に用いられた木目の壁も、気持ちよさを少し演出します。
シャワールームは広さに余裕のあるつくり。
こちらもバスルーム同様、窓が設置されていて気持ちいい空間に。
朝のシャワーも心地よく、かつスッキリと体を目覚めさせてくれそうです。
脱衣室の木材張りの壁も、リラックスできるポイントかなと。パズルのような鏡は少し見づらいかも知れませんが、ご愛嬌の範疇です。
シャワールームの対面にはウォシュレット付きトイレがあります。
それでは、2Fへ。
階段の壁にはいくつか絵画が掛けられています。
少しブルーを帯びたダークグレイの壁も、絵画を惹きたたせているのに一役買っているようです。
2Fは専有部の並ぶフロアですが、突き当たりに水まわり設備が設けられています。
洗面台とトイレが2室、シャワールームも1室設けられています。
シャワールームはこんな感じ。意外にも未来的なフォルムでした。高性能そうですが、その程は現地で確かめていただければと。
2Fの水まわり設備の脇にある階段を上ると、屋上に出られます。
屋上は屋根付き。洗濯機が設置されているので、そのまま洗濯物を干すことになりそう。
洗濯機の野外設置はそれなりに手入れが大変ですが、重い洗濯物を持って階段を上り下りしなくても良いというメリットもあるかなと。
屋上からは京都の夏の風物詩、東山如意ケ嶽と金閣寺大北山・ふたつの大文字が見られるそうです。
では、専有部を見ていきます。こちらは、101号室。
畳敷きの6畳間にミニキッチンと押し入れ収納。
ノスタルジックな雰囲気が漂う間取りですが、キッチンまわりの壁にアクセントカラーが良い塩梅で空間をキュートに演出してくれています。
キッチンは1口ガスコンロとシンク。
調理場スペースはほとんどないので、よく料理をする人は別途ワゴンを用意した方がよいかもしれません。
こちらは107号室。
間取りは基本的にどの専有部も変わりませんが、備品は少しずつ違ったものが置かれています。
こたつの脇には多数のブランケットが置かれていました。
さすがは羊毛屋さん。寒くなる季節もホカホカと過ごすことができそうです。
スッキリと家具を置かなければ、こんな感じになります。
押し入れの奥行きはほどほどにあります。
中にハンガーポールを設置すると洋服の出し入れはしやすいかも。天袋収納も備えてあるので、オールシーズンの洋服を保管出来そうです。
最寄り駅は、宇多野駅 - 鳴滝駅間の桜並木が有名な京福電鉄北野線の等持院駅です。
等持院駅はシェアハウスから徒歩で5分ほど。嵐山方面にお勤めであれば、便利に使えるかと思います。
一方、シェアハウスから13分ほど歩くこととなりますが、嵯峨野線・円町駅も使えます。円町駅から京都駅までは9分ほど。京都駅周辺に勤務している人であれば、通勤や移動の勝手を考えると円町駅のほうが便利かも。
なかなかアクセスが良いとは言い辛い立地ですが、自転車なら烏丸通のビジネス街まで十数分でアクセスできます。
自転車置き場もあるので、実は自転車で街中を移動するのが一番活用できる手段かもしれません。
運営・管理を行うのは「スピナッツ」さんです。
スピナッツさんの本業は、国内でも有数の羊の原毛屋さんです。
様々な種類のフリース(=毛刈りしたての羊一頭分の羊毛)をはじめ、糸を紡ぐためのスピンドルや糸車、洗毛用品から染料まで、羊毛にまつわるアレコレを多岐にわたって取り扱っています。手紡ぎや手織りの面白さ、原毛の美しさ・魅力を伝えるために情報誌スピナッツを手探りで発刊したのが1985年のこと。現在では計80号を超え、手芸情報誌という枠にとどまらず、羊と人の暮らしという視点で独自の羊ワールドを展開されています。
シェアハウスの運営をはじめたのは、90年台の中頃から。下宿というスタイルを色濃く引き継いだ運営・管理が特徴的で、助け合いながら楽しく暮らすというポリシーのもと、入居者さんとのリレーションを深めているようです。
スピナッツさんの事務所(兼オーナー宅)が、小道を挟んでシェアハウスの向かいにあるのも、あまり例を見ないケースです。
天井の高い炊事場のある昔ながらの作りの建物。スピナッツさんの事務所は緑もいっぱいです。
事務所には、よく住人さんが訪れます。ご飯を食べにきたり、お土産を渡しにきたり、すこしぼーっとするために縁側に座りに来たり。
炊事場からトントンと音が聞こえてくると、シェアハウスまで届く美味しそうなごはんの匂いで住人さんが集まってくるようにも思えます。
ここでは、いっしょにご飯を食べることや楽しいことを皆で企画することが、日常の中に溶け込んでいるのだと思います。
例えるなら、一つ屋根の下の感覚。建物は違えど、あたたかい雰囲気がまるっと包みこんでいるような、そんな空気感。
もちろん日中はそれぞれの仕事があるため、すべてのことに対応できるわけではありませんが、食卓を囲んでいるときや軒先で話すときなど身内話や心配ごとの相談にも乗ってくれるかもしれません。もしかすると、逆もケースもあるかも。
ちなみに、事業者さんの職業柄もあってかアート系、文系の方が多いのだとか。手芸に限らずアートに興味のある方なら、とても勉強になる環境だと思います(もちろんそうでない方も大丈夫)。
現在は満室(2013年10月時点)とのことですが、あったかいモフモフとした心地よさに包まれた暮らしに興味があれば随時チェックしておいてもよいかと。空室をみつけたらコチラからお問合せくださいませ。
ひつじ尽くしだった一日。様々なひつじに出会った一日でした。
8000年も昔から続く歴史に思いをはせるロマンティックな羊物語。
羊毛はもちろん、ひつじは人の衣食住に深く深く関わっているのだそうです。
「まるごと食べ尽くす」なんて一冊も目にしたり。ちょっとドキッとしてしまいました。
(イシクラ)