2014年01月の記事一覧

あふれる個性にふれる

「建てたかった家を、建てたんです。」

Share House REUNIONのオーナーさんと話をしているとき、彼女の言葉の節々から感じ取られた強い意思。まさにそれを凝縮したような一言でした。

海外のシェアハウスで過ごした経験をもとに一から設計した、力強くダイナックな住宅。

ソファスペースからダイニング、キッチンへとひとつづきに繋がったリビング。グリーンウォールの塀に囲われる中庭の菜園。ライブラリースペース。そして居住エリアから独立した汎用性の高いフリースペース。どの空間も、開放的でゆとりのある贅沢なつくりです。

あえて既存の建物を活かすリノベーションではなく新築という方法を選んだのも、理想を追い求めた結果なのでしょう。

展示会や個展を開くこともできる、フリースペースは本格的な仕上がり。アートやクリエイティブなことへの関心が高いオーナーさんの想い入れが汲み取れる空間となりました。

良い家には、暮らしのなかで家に込められた作り手の個性やインスピレーションを楽しむ醍醐味があります。

もちろん、個性的であるほど入居者さんの好みもはっきりと分かれます。ただ、歯車がカチリと合えさえすれば、坂道を転がるように心地よく刺激に満ちた暮らしが広がっていく、とも言えます。

やりたいことをやった、というシンプルな意思から発せられる引力。

一度訪れると心を掴んで離さない魅力が、「Share House REUNION」にはあるのです。

交通量の多い4車線の国道を歩くことおよそ5分。

高層マンションや商業施設、オフィスビルが立ち並ぶ一角に建つクリーム色の住宅が「Share House REUNION」です。

建物に面した幅の広い国道のおかげか、存分に日当たりの恩恵を受けています。

よく見ると、隣のビルの入り口が歩道に接面しているのに対し、シェアハウスの玄関には小さなアプローチが設けられています。

実はこれ、道路に対して少し角度をつけて建設することで生まれたゆとりの空間。この設計により、建物内にも小さな菜園スペースを確保。これぞ、クリエイティブと言えるかと。

ポストは専有部ごとに用意されています。

正面玄関には幅広のひさしが設置されているため、雨降りの日でも余裕をもって出入りできそう。加えて、ドアの鍵がナンバー式なので、鍵を失くす心配もありません。

鍵のテンキーパネルは、個性的なデザインです。

では、真新しいドアを手前にカチャリと引いて、さっそく内部へ。

期待に膨らむこの瞬間が、たまりません。

扉を開けると、目の前に表れるのは淡いブルーの壁とランプ。

たとえるなら、空と太陽。なかなか小粋で芸術的な風景ではないでしょうか。

そんな輝く太陽は、以前の建物に残っていた骨董品なのだそうです。

聞けば、1950年代生まれのかなりの年代物。

電球を付け替えたところ、今でも十分に使えるようになったのだとか。

靴箱はフラットな表面で、見た目もすっきり。木製で味わい深い色味です。

室内用の履物を1足、シューズを2足、ショート丈のブーツを1足、これでぴったり埋まる収納量。

出番の少ない履物は、専有部で保管することになるかと思います。

玄関を上がったすぐ先がリビングです。

ダイニング・キッチンへとひと続きになった開放感のあるリビングと、4人掛けの大きなオーダーメイドソファ。

ターコイズブルーと要所で使われる深みのある木の風合いが、どことなく北欧を彷彿させるテイストです。

空間に合わせた特注のソファは、日当たりをいちばんに感じる場所に置かれています。座り心地も一級品。ふわふわ、ふかふか、ついごろんと寝そべってしまいたくなるほど。

ちらりと見える天井に通された梁も、実に良い感じ。白い空間によく映えます。

ソファを照らす照明は、オーナーの友人によるオーダーメイドなのだそう。

モスクの礼拝堂をイメージし、あえて錆とひび加工を施して、味わいある雰囲気へ。日が暮れる頃にはさらに幻想的な演出を施してくれそうです。

ほかにもリビングの随所に、オリジナルのアイテムが散りばめられているのだとか。

おそらく、いつまでも愛せる楽しみ尽きない空間だと思います。

無駄のないシンプルな構成の中に見え隠れする、ほどよい遊び的要素。スマートな大人感と肩肘張らない空気感が共存する空間は、スタイリッシュなライフスタイルをイメージさせます。

愛着を持って長く暮らしたいからこそ、格好よさと愛嬌を持ち合わせていてほしいな、なんて。

リビングの窓からは、三角形の菜園へ出られます。

縁側に見立てた小さなデッキがチャーミング。晴れた温かい日には、本を片手に日なたぼっこも楽しめそう。

網戸が備え付けられており、窓を開放しても虫の侵入を防げます。

リビングを抜ける心地よい風の通り道が、うつろいゆく季節の便りを運んできてくれることかと。

コンパクトにまとまった菜園は、バジルやローズマリーなどのハーブや、小さめなら野菜も栽培することができます。

どんな料理もそこに自ら育てた新鮮な食材を加えれば、いっそう美味しさに磨きがかかるものです。

格子状のアクリル樹脂製のつい立ては、ツタを巻いて一面をグリーンウォールになる予定。

目の細かい格子は、ツタが這いやすく、一方で根が絡みすぎないようにする一石二鳥の工夫。今年の夏頃には立派な緑の壁ができあがるとのこと。

ツタが成長するにつれて、リビングの風景が緑でいっぱいになっていく。素敵な暮らし方だと思います。

再度リビングに戻り、さらに先に進んでみます。

落ち着いたリビングとは対照的に、ダイニング&キッチンはちょっぴりハードな佇まい。

直線でマットな質感のダイニングテーブルと、ステンレス製のキッチンが、シャープさを引立てます。

壁のカラフルなモザイクタイルは、アートのよう。モダンな空間に彩りを添えます。

注目したいのは、テーブルとキッチンの位置。細長く、一直線に並んでいます。

毎日の食事はもちろん、手の込んだ調理をするときはダイニングを調理台として使うこともできます。パーティーの時は、料理を食べる人、キッチンに立つ人、隔たりなく楽しい時間を過ごすことができそう。

インダストリアルデザイン的な味わいある3連のペンダントライトも、空間の雰囲気に一役買っています。

木枠にはめこまれたくもりガラスの先、おぼろげな姿で見えるのはライブラリーの様子。

少し曖昧な空間の境界線が、開放感と適度な距離感を生んでいるよう。

この絶妙な塩梅が、暮らしやすさの秘訣と言えそうです。

キッチンは、アイランド型のシンプルな設計。無駄なものがなく、フラットな印象です。

作業台のスペースも幅広く、キッチン前に並んで談笑しながら料理しても余裕があります。

横に並んだダイニングテーブルと相まって、リビングよりも会話が生まれるスポットになるかも。

シンクには水切りカゴが付いています。お皿もそうですが、調理中に洗った野菜の水を切っておくのにもちょうど良さそう。

ガスコンロは4口です。火力も十分ですし、五徳をとればフラットな構造なので後片付けがしやすいかと。

調理器具やキッチン家電は、シンク下に収まっています。

収納容量はなかなかのもの。生活感が出てしまうキッチン家電などはごっそり収納しています。

逆に食器類は、魅せる収納。タイルのコンビネーションと真っ白な食器、お互いの輪郭をくっきりと浮かび上がらせます。

ちなみに、この家のルールは「基本的に使ったらもとの位置に片付ける」。片付けは、少しシビアなイメージを持っておくくらいが丁度いいかと思います。

キッチン脇には、部屋ごとに使えるストッカーが用意されています。

調味料のほか、パスタやお米といった食材もそれなりに保管しておけそう。

棚に置かれているのはオールド・トンプソンのスパイスラック。

種類も豊富で組み合わせられることも考えると、レシピのパターンは無限に近くなるのでは。料理好きの探究心をくすぐるアイテムです。なお、スパイスは随時補給されていくそう。

キッチン脇にはスツールが並んでいます。

パーティーや食事会のときにも重宝しそうです。

リビングのソファ脇の扉の先には、洗濯機と乾燥機が設置されています。

洗濯機の上には、部屋それぞれの収納を用意。

洗剤などはもちろん、リビング脇にあることを考えると用途は多々ありそうです。

トイレはウォシュレット付き。

小さな手洗い場が設けられ、シンプルな空間になっています。

ところ変わって、こちらはライブラリースペース。

またの名、ギャラリーとも呼んでいるとのこと。

天井まで届く巨大な本棚には写真集をはじめとしたさまざまな書籍が収められていく予定なのだそうです。

本棚は共用ですが、入居者がここに本を置くときはデザインチェックが入り、アートブックの類い、またはデザイン性の高いものだけに限られます。

本棚の書籍をひとつ手に取ってみます。

こちらの本は、Beyond Bawa。

東南アジアの有力な建築家であったGeoffrey Bawaについてまとめた本で、REUNIONのデザインコンセプトもBAWAから影響を受けているそうです。

表紙からも、ゆったりと時間を楽しむ家・写真・ライフスタイルが詰まっていることを想像できます。

ふと視線を足元に移すと、ラフに仕上げられたテラコッタのタイルが敷き詰められています。室内で床材として使われているのは珍しいかも。

本棚の対面には、欧風の空間に意外とマッチしている大きな和箪笥。

玄関の照明と同じく曽祖父から譲り受けたそうで、かなりの年月を経ているとか。

そこで引き出しのひとつを裏返してみると、作られた年が記載されていました。

大正3年(1914年)、今年でちょうど100年。なるほど、納得の存在感です。

ギャラリーの階段手前にある掃き出し窓から、テラスに出られます。

隣家に面していますが目隠しの塀が高いため、自由度は高め。

スツールやテーブルを持ってきて、Tea&読書。ヨガマットを持ってきて、ストレッチなどもできそうですね。

ギャラリーの隣には、吹き抜けの空間。

吹き抜け空間の先にはフリースペースが併設されています。

上を見上げると台形の空が突き抜けています。

ではそのままフリースペースへ向かいます。

無垢材の手ざわりが心地よさそうな、白を基調とした空間が広がります。

ぱっと見ると窓が小さい印象ですが、実は日当たり抜群。ほどよく明るく、落ち着いた雰囲気に満ちています。

左手の窓からは、庭に出ることができます。

フリースペースでは入居者自身がイベントを企画して使用することもできれば、運営事業者さんが外部向けのイベントを企画することもあるのだとか。

中庭というワンクッション。そして、直接フリースペースに繋がる別口の玄関。これらは、意図的にそれぞれ空間をしっかりゾーニングするための設計です。

外部向けのイベントを企画したとき、見知らぬ人がぱたぱたと家のなかを歩き回られるのは精神衛生上よくないことだと思います。このゾーニングは、そんな暮らしのノイズを取り除き、またフリースペースを使いやすく活用の幅をぐっと広げるグッドデザインだと思うのです。

ヨガレッスンを受けたり、ホームシアターで映画を楽しんだり、個展を開いたり、ワークショップを開いたり。何もないシンプルな空間だからこそできること・楽しめることは山ほどありそうです。

壁の一角には、ヨガマットなどを保管しておくのに便利そうな収納スペースが設けられています。

また、壁際の天井にはスピーカーが設置されています。

写真の背面側を含める5方向から迫力あるサウンドを楽しめます。

左手の窓脇にはバックヤードとトイレが設けられています。バックヤードは姿見付き。イベント時には控室や着替え場所としても使えるかと。

トイレはシックなテイストです。

あ、もちろんウォシュレット付きです。

2Fへつながる階段はスケルトン。

廊下を広く開放的に見せ、圧迫感ないつくりです。

思わず「!」と唸ったのが、これ。

最初は飾り程度にしか見えていなかったのですが、いざ階段を登るや思わず手にとって「これは手すりなんだ」と教わりました。

人間の行動学に則したと思わせる、手すりに見えない手すり。建物のクリエイティブな要素を感じさせるひとコマです。

2Fから床の素材が変わります。

ファブリックの質感は踏み心地もやわらかく、防音性も兼ね備えています。慌ただしい朝の時間帯、多少ラフに歩いても問題ないことかと。

中庭を囲む廊下には、部屋が並んでいます。

窓を除くと、ちらりと中庭の様子が伺えます。

ちなみにフリースペースと居住スペースの間には、管理人室があります。

階段を上がったすぐ左手に、水まわり設備がまとまった部屋が設けられています。

右手前から女性専用のトイレとシャワールーム、その隣が男女兼用のトイレとシャワールームです。

洗面台は2台。

水栓のハンドルは、船舶の舵のようなデザイン。洗面ボウルの下にも、小さな収納が付いています。

タオルや洗面道具などを置いてくおくのに使用できます。

シャワールームの手前は脱衣室です。

コンパクトな空間でもタオル置き場やハンガーフックなどを適度な間隔で設けているため、利便性の良い空間にしあがっています。

それでは、部屋を見ていきます。

まずは、201号室から。

各部屋に取り付けられたドアの表面は、黒板仕上げ。

家のコンセプト的にアートやクリエイティブに興味を持つ住人が集まりそうな下地もあって、今後、大作が生まれることも期待したいところ。

部屋は、木の趣を感じるシンプルな風合い。

部屋は全部で3タイプ。それぞれ個性が異なります。

収納スペースもしっかりと確保され、部屋をすっきりと使えます。

デスクとチェアは各部屋に備え付けられています。

照明はレトロな佇まい。

暖色系のあたたかい明かりを灯してくれます。

アクセントクロスのパターンは部屋によって様々。

ブルー系のストライプ模様はボーイッシュな印象です。

202号室はロフト付きの専有部。

通りに面していて、四角い窓からたくさんの日差しが差し込みます。

収納は高さがあるため、普段使わないものは上部に収める形が便利そうです。

シェアハウス探検隊の記事でもよく見かける、室内で物干しができる器具が設置されています。

乾燥機を使わずとも、外出中や就寝中にも干すことができます。

天井近くにも窓が取り付けられていて、吊るされた紐から開閉することも可能。

対流が滞りがちなロフトまわりも、風通しが良くなりそうです。

はしごを登った先のロフトはこんな感じ。

備え付けのベッドが置かれています。

上から見た専有部の様子。高さがあります。

柵が設けられているので安全かと思いますが、万が一のことを考えると、寝相の悪い人はロフトで寝ない方が身のためだと思います。

208号室は、一風変わった“半”和風のつくり。

床が床上げされており、一部に畳が敷かれています。畳敷きの下は収納として使えます。

ベッドよりも布団派、椅子よりも胡座(あぐら)派の人にはぴったりかと。

ひとつ気になるのは、寝具の存在。ベッドと比べどうしても生活感が出てしまい、なおかつかさばります。

でも、壁に設置されたスイッチをぽちりと押せば、

なんと、畳が起き上がり収納が現れる驚きの仕掛けが。

これなら簡単に出し入れができそう。手間のかかる床上げを施した理由も納得です。

撮影時にはまだ工事中でしたが、外には屋根付きの自転車置場が設けられています。

風雨をしのぐことはできますが、盗難予防のために鍵はしっかりめが良いかと。

フリースペース用の玄関は、正面玄関とは反対側に位置しています。

最寄り駅は、大阪市営地下鉄御堂筋線西田辺駅

なんば心斎橋駅まで14〜5分、梅田新大阪駅にも30分とかからずに直通で行くことができる好エリアです。

JR阪和線南田辺駅も徒歩圏内。目的に合わせて路線を選べるのが嬉しいですね。

隣町はJリーグのなかでも勢いのあるサッカーチーム、セレッソ大阪のスタジアムがある長居駅

長居スタジアムではほかにもラグビーやアメフトのリーグ戦や、市民参加型のマラソン大会も定期的に催されており、毎週末をアクティブに過ごすこともできます。

それでなくともシェアハウスの周辺は大型スーパーや、散歩にちょうど良さそうな公園がそろう、暮らしやすい環境があります。

シェアハウスを運営するのは、「株式会社弘洋」さん。

今回が初めての運営とのことですが海外でのシェアハウスにおける経験と、住まいづくりにおける真摯な姿勢に裏打ちされた素敵な住宅に仕上げられています。

実際にオーナーさんも一緒に住む予定とのことで、運営スタイルは細やかな配慮が期待できそう。その分、キッチンやダイニングに関しては魅せる収納しかり、入居者さんも整理整頓には抜かりない姿勢が求められそうです。

オーナーさん曰く、アート(特に写真や彫刻)やインテリアに高い興味を持っているので、その想いを具現化した建物が持つ空間やコンセプトに共感を持つ人にぜひ入居してほしいのだとか。

快適なくつろぎと適度な刺激、なおかつ個展を開くことができる空間を持つ家に魅力を感じた方は運命かもしれません。

コチラからお問合せを。

シェアハウスも、オーナーや設計士さんの個性・思い入れが現れやすい建築。そこで暮らすことは、一般的なひとり暮らしではなかなか得られない経験でしょう。

自分のセンスと共鳴しあう家と巡り会えたとき。

それは、最愛の人を見つけたような、人生で最も胸の高鳴るときなのかもしれません。

(ソン)