2012年02月の記事一覧

軋む廊下を踏みしめて

リビングの棚、日常の風景。ルドさんが書いた力強い一文字。

本日のシェアハウス探検隊は、古い木造アパートの管理人室をリビングとして改修した「Guest House Rainbow」です。

新規OPENの物件は人の気配や生活感を持たず、暮らしの風景を設備や導線から想像するしかありません。

その点、今回の物件はいつもとは異なり、2012年2月の時点で既にOPENから3年が経過しているのだとか。至る所に運営・管理の手法や入居者さんの住み方が写り込み、ワクワクします。

たとえば、海外からの入居者の為にオーナーさん自らイベントを企画されていたり、内装やルールの貼り紙にまで創意工夫が見られたり。

各部屋の間取りはというと、元々が風呂無しの古い木造のアパートだったので、正統派の「6畳和室+キッチン」が基本となっています。

古いのは、ちょっとムリっす!と言う方もいるのは承知。その場合は、変わった世界もあるのねぇと、遠くから見守って下さいな。

温泉旅行で敢えて古い旅館を選んだ事がある方なら、人とのコミュニケーションだけではなく、過去の改築のノリといった観点からも建物を楽しめるかと。

では、キィキィと軋む板張りの廊下をゆっくり歩いてみます。

建物は、国道が走る高架沿いの角地にあります。

実はワタクシ、建物を見るときに顔に見立ててしまうクセがあるのですが、この角度からだと、鼻筋の通った王様に見えます。チェスで表すとキング顔。

王様の頬のあたりの窪みに寄ると、シャッターに描かれた大きな虹が目にとまります。

こちらは自転車置き場。

豪快な虹の絵は、以前に住んでいたグレッグさんが描いてくれたのだそう。

作品には、カタカナでサインが残されています。

雲のボカシ方など、筆遣いが巧み。聞けばグレッグは海外で活躍するアーティスト、という事実はなく普通に器用な方だったそう。

世の中にはいろんな人がいるものです。書いてヨシ!と言ったオーナーさんも含めて(笑)。

続いて、シャッター脇の正面玄関へ移動します。

玄関前にはゴミ置き場と喫煙スペースがあります。

オーナーさんが近所に住んでいるので、玄関前も含めた掃除は頻繁に行われている様子。ちなみに、ドア周りは一度リフォームされているようですが、それから随分と時が経っている雰囲気。

では、ハンドルを握り、親指でレバーを下ろします。

カチャッ。

入って正面のドアの先が、元・管理人室だったリビングです。

左手の木枠のドアはランドリーとシャワールームへ繋がります。

ドアがガラス張りなので、中からは外の通りを歩いている人が見えますし、外からも中がほんのり見える感じ。

靴箱はひとりで扉ひとつ分使用できます。

2名で入居した場合も同じく、ひとりで扉ひとつ分使用可能。ノスタルジックながらインパクトのあるデザインですが、元々あった靴箱のカラーリングを変更しただけなのだそう。

まずは、リビングを見てみます。

元・管理人室と言うことで、他の専有部と比較すると少し広めの間取りですが、入居人数に対する共用部としての広さや機能を考えると、ちょうど良い程度かと。

舟底天井からも見て取れるように、元は和室です。

ダイニングテーブルには座面が回転するチェアが4脚配置されています。

窓際のソファと合わせて、お酒やごはん、読書やコーヒ、ごろり読書と、心の求めに応じた姿勢と場所を選べます。

廊下に面した内窓には、書道体験レッスンの案内があります。

署名にある、虹母=rainbow mom=オーナーさん。

TVの上には棚が用意され、色紙にはルドさんの書いた「気」が飾られています。

聞くと、ルドさんはオーナーさんが企画した書道体験レッスンで、この「気」を書き上げ、帰国時に見事に忘れていったのだそう。

力強いけど、どこか締まりきらない、でも愛嬌のある「気」が、忘れん坊なルドさんの性格を物語っているようでもあります。「文字」は英語でcharacter、人格の意味もあるのですから。

窓の外は屋根付きの洗濯物干し場です。

雨が降っても干せますが、貼り紙にはちょっとしたルールが記載されています。

エアコン使用時は室外機の位置の都合で、配置を変える必要があるようです。

物干し用の器具は自由に使えます。

ちなみに、壁の塗装もオーナーさんがご自身で行ったそう。

迷いのない豪快なハケ使いには、独特のセンスとチャレンジ精神といたずら心を感じます。

先ほどから気になっていた桜の木は、やはりホンモノ。

仕事上でお付き合いのある小学校から譲って頂いたのだそう。柿渋の塗料を使って表面を仕上げられたそうで、少し橙色に見えます。

また、どうしても床から生えているように見せたかったので、大工さんにお願いして設置したのだそう。チャレンジが好きとは言っても、プロに任せる線引きは認識されている様子。

テーブル上にあるコーヒーは、自由に飲んで良いとのこと。

キッチンもありますが、皆さんは基本的に各室に備え付けられたキッチンで料理をしているそう。

ただ、炊飯器の利用については、ちょっと変わっているルールがあります。

部屋に持ち帰る→ゴハンを炊く→また戻す、という運用なのだそう。

続いては、水まわり設備を。

冒頭でもお伝えしましたが、各部屋の間取りは「6畳+キッチン」。個室内には洗濯機やシャワールームはありません。アパート建築当時は、体を洗いたいときは銭湯に行く。洗濯は洗濯板を使うのが普通だったハズ(コインランドリーはあまり普及されていない時代だったと予想)。

それらを思い浮かべると、今はシャワールームと洗濯機は屋内に用意され、玄関脇からアクセスできます。便利になっているのです。

アルミのツマミを手前に引くと、華奢なドアが開きます。

ドアの先には、ステンレスのフードが残る店舗のような空間。ちょっと不思議に思い聞いてみると、衝撃の事実が明らかになりました。

元・お好み焼き屋。

その昔にオーナーさんが、ココでお好み焼き屋を営んでいたのだそう。当時はシャワールームや洗濯機が置かれることは想像もつかなかったでしょうに。

恐るべし時代の流れ。

乾燥機の上には、今でも店舗仕様の換気扇が残っています。

現役ですが、換気扇のスイッチはかなり奥まっているので、操作にはグイっと手を伸ばす必要があります。

シャワールームの方を見ると、視覚に訴えるよう、テープで足形が描かれています。

シャワールームの手前でスリッパを脱げ、ということでしょう。

ドアを開けると脱衣室とコインシャワーがあります。

この時期、コインを忘れると寒い思いをすることになります。お気をつけて。

続いては1Fの専有部を見てみます。

各部屋ごとにテーマがあり101号室は「風」、手作りのサインでテーマを表現しています。

風のイメージビジュアルが笹の葉。素敵なイマジネーションです。

室内はリビングと同じく、舟底天井です。

今では大変貴重ですが、部屋を広く見せる効果があるのだそう。

室内はキチンと整頓されていますが、柱や天井などの木材部は経年で深みのある色合いとなっています。

しっかりとしたキッチンもあり、窓先には物干しができるスペースも。

目の前の通りは一定の人通りがあるので、目隠し効果もある波形プラスチックになっています。

収納内には洋服が掛けられるようポールが渡されていますが、高さは程々なので服によっては裾がシワになってしまうかも。

1Fには1室のみ。

古い旅館で見るような、幅の広い階段で2Fへと向かいます。

階段脇のポッチは、呼び出しブザーだったそうな。

後付けの手摺りが縦と斜めに付いています。

上の写真の右上の出っ張りは、後付けで作ってもらった専有部内の収納との事。昔の大工さんは器用でフリーダムです。

そして、今も昔も火の用心。

階段を上がると、板張りの廊下が気持よく通っています。年末は雑巾がけレースが出来そうですね。

突き当たりは非常階段になっています。

上を見ると、配管からぶら下がるガスメーター。

室内へはガスが供給されていので、既に完全なオブジェ。現代の20~30代には未知のモノ?言うなれば古さの持つ魔法は、未見で斬新。

他にも謎の物体Xがあります。

こちらの使用用途をご存知の方がおりましたら、教えてくださいませ。

階段脇には共用のアイロンや掃除器具があります。

その他にも、うちわや懐中電灯、布団ハタキなど、地味ではありますが、あると嬉しいアイテムが揃っています。

廊下の突き当りは非常口になっていますが、この鍵が曲者。

一見ねじ込み式の鍵に見えますが、ねじ込む必要がなく、鍵を持ち上げ、押し込んで半回転ほどひねるタイプなのです。

過去には年代モノも含めて、かなり多く鍵を見てきましたが、初めてのギミックです。

貼り紙を用意している事から察するに、やはり誰もが解錠には戸惑いがあるのかと。

非常階段はこんな感じ。

階段を下ると、建物脇をぐるりとまわって道路へ出られますが、本当に非常の時は、駐車場側から道路に出るのかも。

ちなみに隣接駐車場の1区画は、バイクの駐輪スペースとして利用可能です。

非常口の脇が女性用トイレです。

元がランドリースペースだったという事で、壁にはコンセントの差込口が並んでいます。

清潔整頓の精神は、当時も今も変わりません。

トイレはいたって普通です。清潔が一番です。

お隣が男子トイレ。

コチラもスタンダードです。

専有部のドアには、手づくりの表札があります。

部屋ごとにデザインが違います。

丁寧な仕事で近くで見ても品質はかなり高め。

サインの幾つかはオーナーさんの娘さんがネイルアートの経験を生かして作られたのだそう。でも、娘さんが上京してしまったので、残りはオーナーさんが真似して作ってみたのだそう。エピソードもサインも素敵ではありませんか。

「空」の部屋は、和室に似合うひよこの絵。

「翠」には、松の葉。

「陽」はすすきでしょうか。バリエーション豊かで趣感じる様は、花札のよう。

控えめに添えられている英字もいい味出してます。

さて、そろそろ専有部を見てみます。

ドアは質量を感じないほど、軽快に開閉できます。

ノブは今まで何度も握った事のある、馴染みのあるスタンダードタイプ。

こちらはリフォーム済みの208号室。

室内は基本的に6畳+キッチン。

ピンクの砂壁もポイントです。

最近は見ることも少ないのですが、和室には相性も良いかと。

テーブルの上には、赤ペンでデータ追加された周辺マップが用意されています。

入居時に渡しているのだそうな。

室内には最低限のデスクとチェアも用意されています。

ドア脇は、扉付きの収納スペースになっています。

収納上段にはポールが渡されているので、洋服が掛けられます。

キッチンは作業スペースや収納を考えてもしっかりめ。

炊飯器はリビングから借りられますので、共用で良ければ別途購入しなくても大丈夫です。

そうそう、コンロを使用するときは、換気扇をつけて下さいとの事。

窓ガラスには、ドットで描かれた模様が刻まれています。

窓を開けると目の前に国道を拝めます。

2Fの専有部で通りに面している側、すなわち東に窓がある専有部の景色は、どこもこんな感じです。

こちらが、日々携帯する玄関と専有部の鍵。

続いては206号室。

表札はサクラ。

室内の家具は色あいが多少変わる程度で、機能はほとんど一緒かと。

205号室は橙、表札はトンボがモチーフです。

どの専有部も2名入居が可能なので、イメージしやすいようベッドを用意されたそう。

汚れがそれはど気にならなかったという事で、畳や砂壁は以前のまま。

収納のドアは白く塗られていますが、基本的に経年に合わせて順次リフォームをかける予定との事です。

よく見ると天井の竿は、綺麗に面取りされて黒く染められています。

室内にあるインターホン風のブザーは、今は使えず。

きっと押してる間だけ、ブーブー鳴るタイプかと。

昔は電話の呼び出しなどで使ったのでしょうか。

さて、次は周辺の環境を。

建物の裏側に回ると、バイクを置ける駐輪スペースがあります。

隅を使用できます。

駐輪場から玄関までは、建物をぐるりと回り込むので、遠くないけど近くもないです。鍵やヘルメットを忘れると残念な気分にはなれそうです。

個人的にとってもいいなーと感じたのが、「豊湯」。

昔ながらの銭湯が、シェアハウスの斜向かいにあるのです。

ザブンと湯船に浸かりたい時は、ちょいとお出かけしましょうか。湯冷めをする事なく、部屋まで帰れますよ。

ま、古い木造住宅なので、部屋が温かいとは限りませんけどね。冬は特に。

夕時には近所のおじいちゃんが洗面器を持って、豊湯に吸い込まれていくのが日常風景かと。

さて、ご近所をふらりと歩くと、複数の商店街にぶつかるそうなのですが、駅前から続いている四貫島商店街がメインのショッピングスポットになりそうです。

最寄りの駅は阪神なんば線千鳥橋駅です。

難波までは15分程度、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン (USJ)へのアクセスも良いので、年間パスポートを持っているヘビーユーザーなら嬉しい立地かも。

運営・管理は「Guest House Rainbow」さんが個人事業主として行なっています。

ご近所に住んでいて毎日のように物件を訪問されるのだとか。

いつでもご自身が住めるよう、清掃は欠かさないのだそう。

きっと面倒見の良い、いい具合に大阪のおばちゃんなのでしょう。改装後に初めて入居者さんが決まった際は、ひとりじゃ寂しいだろうと考え、一緒に寝泊まりをしたというエピソードも。

お好み焼きパーティーが開催される時には、店舗運営の経験を生かして、本格的な腕前を見せてくれそうです。

気になった方、お問合せはコチラからどうぞ。

お昼時に商店街でランチバイキングのお店に入ったのですが、

伝票をみてびっくり。

品名:バイキン

そりゃ無いよ。

(サトウ)

2012年02月20日

カテゴリ: ユニーク物件 大阪